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仕事・現場

一人親方の労災保険特別加入、ケガをして初めて知る重要性

一人親方の労災保険特別加入、ケガをして初めて知る重要性

個人事業主(一人親方)が綴る、ねこ丸ブログへようこそ。
脱サラ家庭の内部事情を、夫婦で執筆しております。

「労災保険の特別加入」ってご存じですか?

私はお恥ずかしながら、知りませんでした…。

元請けから加入証明を求められて、慌てて調べたくちです。

「自分にとって必要なものなのか?」
と疑問に思っていました。

しかし、今の私にとって特別加入は、
「入っておけば安心」ではなく
「万が一の事態への最強装備」となりました。

なぜそう思うようになったのか。
はじめから順番に書いていきます。

特別加入を知ったのは、独立して数ヶ月経った頃。

新しい元請けとの契約が決まり、先方の担当者からこう言われました。

「労災の特別加入、していただいてますか?加入証明がないと現場入れないんです」

会社員時代、厳しく指導されてきた労災。

脱サラ後は、それをすっかり忘れていました。

当時の私は 「労災なんて起こさない、私には関係ない」 と愚かにも思っていました。

ねこ丸くんアイコン(疑問顔)
「特別加入」とはなんぞや?

労災保険に入れない立場の人のために、国が用意した任意加入の制度です。
元請会社によっては、加入証明書の提出を求められることがあります。

補償の柱は4つ。
休業中の給付、医療費の全額給付、死亡時の給付、そして障害が残ったときの給付です。

現場に入る日まで、あまり余裕がありません。

頭にあったのは「間に合うか」という心配だけ。

労災そのものは、まだどこか他人事でした。

特別加入は即日発行、でも…!

まず、どこで加入すればいいのかすらわからない。

現場に入る日程が迫る中、慌てて制度を調べ、つづいて加入のために団体を探すことになりました。

「せっかくもらった仕事を、逃したくない」

その一心です。
勉強不足のツケを、まとめて払っている気分でした。

いくつかのサイトを見比べて、選んだのは「一人親方労災保険組合」。

決め手は、当時の時点では、保険料と組合費のトータルが安かったこと。
そして加入者が多いこと。

個人的な好みですけど、付随サービスを変にアピールしていないのも良かったです。

シンプルでわかりやすいHPも好印象でした。

本丸の補償の中身自体は、国の制度なので、どこの団体を選んでも同じ。
違うのは組合費と、サービスの手厚さのようです。

だからこそ「安くて、わかりやすい」を基準にしました。

手続き自体はネット申込みで、すぐ支払いをし、即日発行です。

私の場合は夜にHPから申し込み、次の日の夜には支払い完了。

その後すぐに「取り急ぎ加入証明書をお送り致します」と、証明書が添付されたメールが来ました。

しかし私が頭を抱えたのが、健康診断。

支払後に来た、別のメールの一文です。

加入時健康診断が必要なため、後日健康診断指示書をご郵送いたします。受診が完了するまで正式なご加入とはなりませんので、期限内に必ず健康診断を受診してください。組合員証は受診後にお送りいたします。

粉じんや振動工具を扱う業務など、過去に従事してきた内容によっては、加入前に特殊な検査が必要になります。
私の場合も、これに該当していました。組合を通して手続きするため、正式な加入までには時間がかかりました。

対応している病院が、近所に少ない。
しかも日程の枠も限られている。指定期間内に受診しなかった場合や、健診の結果によっては、加入申請の全て、もしくは補償内容の一部が不承認となる場合があります。

あせるあせる。

現場のスケジュールと突き合わせながら、なんとか予約を確保できたのは、なんとこの現場が終わったあと。

しかも、もし検査で引っかかって不承認になった場合、そもそも加入自体が成立しません。
つまり、仮証明で現場に立っていた期間まるごと、補償のない状態だったことになります。

給付基礎日額は、とりあえず保険料を最安で抑えたいと思い、一番低い区分にしました。

それでも保険料と組合費で、年間3万円近く。

必要経費かな…と割り切りました。

とはいえ当時は、言われたからとりあえず入っただけの保険です。

そして数ヶ月後、労災は起きた

「言われたから入った」労災保険。

「この期間が終わったら、保険は更新せんでいいかなー」くらいに思ってました。

そんな、加入から数ヶ月経ったある日。

やってしまいました。

作業中に手元が狂い、利き手を負傷。

入院とまではいきませんでしたが、即、縫合。
しばらく通院することになりました。

ねこ丸くんアイコン(心配顔)
頭は真っ白。でも病院では最初に「仕事中のケガです」と伝えてください

その時の私はお金云々ではなかったです。

血が止まらない恐怖。

利き手が使えなくなるかもしれない恐怖。

仕事はどうなる、というあせり。

そして、「これ、隠さなきゃ」という気持ちでした。

ケガをしたことが元請けに知られたら、迷惑をかけてしまうんじゃないか。

そんな考えが、頭の中をぐるぐる回っていました。

今思えば、これが一番危ない考えでした。

結局、隠しきれるものでもなく、素直に事情を報告。

返ってきたのは、心配の言葉だけで、ホッとしたのを覚えています。

「治るケガ」しか想定してなかった、という気づき

治療費は、労災保険の「療養給付」でまかなわれました。

ここまでなら「入っててよかったね」で終わる話です。

でも、私が本当に驚いたのは、後から調べて知ったこと。

加入の手続きをする中で、当時の私の労災保険への認識は、

  1. 休業中に給付がもらえる
  2. 医療費を負担してくれる

この2点だけでした。

それ自体は、間違っていません。
実際、今回の治療費は全額まかなわれました。

ただ、今回の労災で、私の認識に見落としがあることに気づきました。

私的に、重要になると思うのは、休んでいる間ではありません。

死んだときの補償もですが、いちばんは障害が残ってしまったときです。

治療費も休業補償も、たしかにありがたい。
でもそこは、貯蓄でもある程度なんとかできる範囲です。

死亡については、掛け捨ての生命保険で備えています。

保険は、入るときよりも使うときのほうが難しい。
そのことは、妻が別の記事で書いています。↓↓↓
保険に入っていても自腹になる|個人事業主が使いどころで迷った話

問題は、障害のほうです。
少々の貯金では代わりがききませんし、生命保険も国民年金も条件が厳しいので、出るとは限りません。

私も妻も一時的な怪我、「治るケガ」しか想定してなかったのです。

休んで、治って、また現場に戻る。
その間をつないでくれる制度だと思ってました。

戻れなかった場合のことを、考えていませんでした。

今回の怪我は、一歩間違えたらもっとひどい結果になるような事故でした。

現に今、傷は癒えたものの、感覚は治りきっていません。
同じように神経を切ったことがある人からは、「神経やっとるなら、もう戻らんかもよ」と言われました。

それを聞いて、さらに怖くなりました。

しかも今回は利き手でした。
もし切断したりして機能が戻らなければ、現場の人間としては続けていけたかどうか・・・。

そんなときにもらえるのが、「労災の障害補償」。

特別加入していなければ、そこは丸ごと空白になります。

貯蓄では足りない。
生命保険は死亡に備えたもの。
障害基礎年金は、日常生活が送れていれば対象になりにくい。

私が見落としていたのは、どの備えからもこぼれ落ちる部分でした。

そこを埋められるのは、特別加入だけでした。

ねこ丸くんアイコン(呆れ顔)
パンフレットでもスルーしてた箇所が重大要素だった…

加入している場合と、していない場合

治療費も収入補填もありがたい。

しかし利き手を負傷し、今なお指の感覚がイマイチな私にとっては、障害が一番恐怖に感じました。

特別加入している特別加入していない
障害が残ったとき等級に応じた年金・一時金労災からはなし(障害基礎年金は日常生活の制限で判定される)
働けない間の補償給付基礎日額の80%(4日目以降)なし
遺族への補償あり労災からはなし(遺族基礎年金の対象になる場合はある)
治療費労災保険から全額給付労災の対象にならなければ公的医療保険を利用。自己負担が発生する
現場への入場加入証明を提出できる入場を断られることがある
費用保険料+組合費がかかるかからない
同じケガでも、判定のものさしが違う
  • 障害基礎年金
    「日常生活にどれだけ制限があるか」で判定されます
  • 労災の障害補償
    「労働能力をどれだけ失ったか」で判定されます

ものさしが違うため、同じケガでも評価が異なる場合があります。日常生活は送れても仕事が続けられない、という状態がありうるということです。

※健康保険が使えるかどうかは、加入している医療保険や個々の状況によって取り扱いが異なる場合があります。建設国保など国民健康保険組合の場合は、規約もあわせてご確認ください。

一人親方の労災保険特別加入、仕組みと保険料

制度そのものについても、整理しておきます。

労災保険は本来、雇われて働く「労働者」のための制度。
一人親方や個人事業主は、原則として対象外です。

でも建設業のように危険と隣り合わせの仕事で 「個人事業主だから補償なし」は、実態に合いません。

そこで用意されているのが「特別加入制度」です。

項目内容
対象一定の要件を満たす一人親方・個人事業主など
加入方法労災保険組合などの団体を通じて申請
給付基礎日額3,500円〜25,000円(16段階)※申請額をもとに承認
治療費(療養給付)給付基礎日額に関係なく給付対象
休業補償給付基礎日額の80%相当(休業4日目以降・特別支給金を含む)
障害が残ったとき等級に応じて年金または一時金
保険料給付基礎日額 × 365日 × 業種ごとの保険料率
その他費用組合費・入会金(団体ごとに異なる)

給付の内訳や、等級ごとの支給日数といった細かい条件は、組合の公式サイトに一覧があります。
加入を検討するときは、最新の内容をそちらでご確認ください。

一人親方労災保険組合(私が加入している組合です)

特別加入のメリット
  • 仕事中や通勤中のケガ・病気が補償される
  • 治療費は給付基礎日額に関係なく給付対象になる
  • 障害が残ったときは、等級に応じて年金または一時金が支給される
  • 保険料は「社会保険料控除」の対象になる

なお、通勤中の補償は業種によって扱いが違います。
建設業の一人親方は対象ですが、個人タクシー業・個人貨物運送業・漁船による漁業などは通勤災害の対象外です。

私自身が知らずに損をするところだったので、注意点は少し細かく書きます。

デメリット・注意点
  • 給付基礎日額の変更は、ケガをする前に申請が必要
    事故が起きてからでは、そのケガに変更後の日額は適用されません。私が加入している組合では、年度途中の変更はできず、2〜3月の更新手続きで申請して4月1日から反映される仕組みです
  • 低い区分を選ぶと、長期の休業では心細い
    給付基礎日額は、所得水準に見合った額を申請して承認される仕組みです。低い区分を選ぶこと自体に問題はありません
  • 労災保険料は経費にできません
    確定申告では「社会保険料控除」として、所得控除の欄に記載します
  • 一方、組合費や入会金は経費として計上できます
    仕訳を作るとき、混同しないよう注意が必要です
  • 加入前に健康診断が必要な場合があります
    業務内容によっては対象になります。対応病院も日程も限られます
  • 加入証明書は即日でも、正式な加入はそのあとです
    私が加入した組合では、健康診断の受診と承認を経て、はじめて正式な加入となりました

なお、とりあえず給付基礎日額を最低に設定していますが、このトラブルを機にいくらに設定するかは、検討しなおしているところです。

ねこ丸くんアイコン(納得顔)
金額はまだ迷い中。変わるのは4月からなので、2〜3月の更新手続きまでに決めます

このあたりは、別の記事で詳しく書くつもりです。

手続き自体は、組合に申し込んで書類を出すだけ。
特別むずかしいものではありません。

加入までの流れ
  1. 労災保険組合を探してHPから申し込む
  2. 給付基礎日額などを決める
  3. 必要書類を添付送信する(申込書・本人確認書類など)
  4. 支払い・確認
  5. 加入証明を受取る

私の場合は上記はすべてメールでやり取りし、決済はカードを利用。
24時間以内に完結しました。

ちなみに、建設国保などを扱う団体には、労災の特別加入も一緒に取り扱っているところがあるようです。

将来そういった団体に加入するタイミングが来たら、今の組合を続けるか、まとめてしまうか、また比べてみるつもりです。

まとめ|個人的には必須の保険

言われるまま、必要性も感じないまま加入した保険。

それが独立してまもない、一番心細い時期に、実際に自分を助けてくれました。

会社員のときにあった後ろ盾は、もうありません。
自分を守る仕組みは、自分で用意するものになりました。

特別加入は、そんな個人を守るために国が用意した制度です。

そして規模の大きな現場ほど、元請けが加入証明の提出を条件にします。

最初は「面倒だな」と思った要求でした。
でもあれは、私を守るための仕組みだったのです。

この世界で特別加入は、数少ない「はっきりした味方」です。

私が飛び込んだ世界のことは、別の記事に書いています。↓↓↓
温室育ちの猫、野良猫になる|小規模建設業の掟と文化

ただ、労災保険だけを単体で見て決めるものではない、とも思っています。

自分の備え(貯金や保険など)とトータルで考える。
そのうえで中身を理解して、納得したうえで加入する。

私の場合、そうやって並べてみて最後まで残ったのが「障害」でした。

貯蓄でも生命保険でも埋まらない、いちばん怖い穴です。
そこに手が届くのが、特別加入でした。

だから今は、迷っている人がいたら「入ったほうがいい」と言います。

自分と家族を守るために。

もうひとつ、どうしても伝えたいこと。

ケガをしたとき、私は最初「隠さなきゃ」と思いました。

でも、それは絶対にやってはいけないことでした。

そもそも仕事中や通勤中のケガは、健康保険ではなく労災保険で扱われるのが原則です。
黙って病院で健康保険証を出す、という選択肢はありません。

隠せば労災として扱われず、受けられるはずの補償も受けられません。
そして何より、同じ事故が繰り返される原因になります。

報告してみれば、返ってきたのは心配の言葉だけ。
自分が勝手に想像していた最悪の展開は、起きませんでした。

労災は「自分だけは大丈夫」が通用しない世界。

ねこ丸くんアイコン(神妙な顔)
労災はみんなに起こりうる。他人事じゃなかった

【追記】あきらめる前に、病院で聞いてください

この記事を書いたあと、指の感覚について病院で相談しました。

治る見込みがあると言われ、今は治療を続けています。

私は経験者から聞いた「もう戻らんかもよ」を、そのまま信じていました。

親切で言ってくれた言葉です。
その人にとっては、本当だったのだと思います。

でも、私の体を判断できるのは医師だけでした。

あきらめる前に、まず診てもらう。

本文に書ききれなかった疑問

調べていて気になったことや、妻からのツッコミで出てきた疑問をまとめました。

元請けが労災保険に入っているなら、自分は入らなくてもいい?

元請けの労災保険が守るのは、雇われて働く「労働者」です。一人親方本人は対象になりません。特別加入していなければ、現場でケガをしても労災保険からの補償は受けられません。

一人親方だけど、たまに人を雇う場合はどうなる?

労働者を使う日数が年間100日以上になると、一人親方としての特別加入は続けられません。「中小事業主等」としての特別加入に切り替えが必要になり、申請の窓口も労働保険事務組合に変わります。
なお日数は延べで数えます。「人数×日数」の合計なので、たまにしか呼んでいないつもりでも、人数が多いと早く到達します。

建設国保に入っていれば、特別加入は要らない?

別の制度なので、どちらかで代わりになるものではありません。建設国保は主に業務外の医療をみる健康保険、労災の特別加入は仕事中や通勤中の補償です。役割が違います。

年度の途中で加入したら、保険料は1年分かかる?

月割りで計算する団体が多いようです。加入した月から年度末(3月)までの分をまとめて払う形になります。年度の途中で脱退した場合、使わなかった分を返金する団体もあります。

1つの現場のためだけに、短期で入れる?

1ヶ月単位の短期加入を受け付けている団体があります。ただし取り扱っていない団体もあるので、探す必要があります。1日単位では入れません。

短期加入の注意点は?

期間の数え方が暦月単位です。たとえば1月15日から1ヶ月のつもりで申し込むと、加入期間は1月31日までになります。月をまたぐなら、実際に必要なのが1週間でも2ヶ月分の保険料がかかります。
また、短期は加入のたびに入会金がかかるため、何度も繰り返すと年単位で入るより高くつく場合があります。

※注意・免責※

この記事は個人の体験と調査をもとに書いています。情報の正確性を保証するものではありません。

内容は執筆時点のものであり、制度変更により異なる場合があります。給付基礎日額や保険料、加入要件の詳細は、加入予定の労災保険組合や社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

また、健康保険の適用可否や、労災保険の対象となるかどうかは、個々の状況によって判断が異なる場合があります。

執筆:ねこ丸