← 記事一覧に戻る
経理・税金・保険

個人事業主の経理はExcelで足りる?会計ソフトを使う妻の本音

個人事業主の経理はExcelで足りる?会計ソフトを使う妻の本音

個人事業主(一人親方)が綴る、ねこ丸ブログへようこそ。
脱サラ家庭の内部事情を、夫婦で執筆しております。

個人事業主のみなさん、会計ソフトは使っていますか?

種類がたくさんあって、悩みますよね。
機能も、操作性も、値段も違う。

さらに安さで選ぶなら、手書きの帳簿やExcelという選択肢もあります。

結論から言うと、私は会計ソフトを選びました。年1万3千円ほどを払っています。

不安定な収入なので、なるべく経費は削ぎたいのですが、それでも払う価値があると思っています。

この記事では、悩んだすえに、最終的になぜExcelを選ばなかったのかを書いています。

個人事業主の経理を引き受けることになった方の、参考になれば幸いです。

突然の脱サラで人生一変、個人事業主の経理は私に

個人事業主になった夫。
経理は私が担当しています。

簿記の知識はある。とはいえ、実務経験はなし。

夫が期待に胸をふくらませて独立の準備をしていた中、
私は社会保険の引き継ぎから、経理のやり方、事務処理まで、すべてを一人で調べる日々。

幸い、ネットと本の力でなんとか乗り切れました。
ただ、経理の経験もなく、頼れる知人もいない状況で、ものすごいプレッシャーでした。

最初につまずいたのが、「会計ソフトにするかExcelで済ませられるのか」でした。

事業の先行きは不透明、できるだけ出費は避けたい。
でも情報を集めれば集めるほど、自分の知識だけではちゃんとした経理はできない、と思い知らされる。

せっかくなら青色申告控除を最大限受けるために、ちゃんと経理をしたい。

そんな風に悩んでいるとき、夫からこんな一言がありました。

「知人のとこは、奥さんがExcelでやってるってよ」

はい、✊グーパンくらわしたろかと思いました。

当時の我が家は、開業の準備の真っただ中。

健康保険はどうする?
年金はどうする?
将来の退職金がないけどどうする?
保険はどうする?
経理はどうやる?
法律はどうなっている?

全部、同時に私にのしかかってきていました。

そこに、この一言が飛んできたわけです。

Excelでも経理はできる、それは事実

個人事業主の経理をExcelでやっている人も、けっこういるそうです。
青色申告なのか課税事業者なのかまでは分かりませんが、複式簿記の帳簿をExcelで作ることは、技術的には可能です。

「絶対に会計ソフトでなければいけない」というルールもありません。

だから私は、Excelを否定しません。

ただ、私は選びませんでした。

個人事業主の経理を始める前の、私の知識レベル

資格があっても、経理の言葉は意味不明

私は簿記2級を持っています。
でも、経理の実務は未経験。

資格があるから大丈夫、とは少しも思えませんでした。
むしろ自分にちゃんとできるのか、不安しかない。

実際に始めてみたら、意味の分からないことだらけ。

例えば、どんなところでつまずいたかというと…

課税、非課税、不課税?免税?
本則課税と簡易課税…、みなし仕入率。仕入税額控除。2割特例?

切手は非課税なのか、課税なのか。
法律上の扱いと、実際の場面での扱いが違う。ややこしい…。

ポイントで払った分は、どうするの?
家事按分という言葉も、初めて聞きました。請求書の作り方、インボイスの意味や目的、内税外税、立替精算書?交通費を請求するときに消費税を乗せると、二重課税?などなど。

しかも、たいていの決まりには例外がついてきます。

日々のちょっとした作業でも、手が止まりました。

返品したときは、どう処理するのか。
領収書がもらえなかったときは、どうするのか。
相手が免税事業者だったら、何か変わるのか。

自動販売機と、電車と、コインパーキング。
同じ「領収書のない支払い」なのに、扱いが違う。

経費になるかどうかと、インボイスの話は別。
これに気づくまで、ずいぶんかかりました。

電子帳簿保存法にいたっては、調べてもなかなか理解できず(笑)。

ネットで調べたり、税理士さんの解説を見たり、本を読んだりして、少しずつ覚えていきました。

ねこさんアイコン(冷や汗)
簿記の教科書、
こんなん載ってた…?

簿記の勉強が無駄だったわけではありません。

ただ、簿記で習うのは帳簿のつけ方であって、税法ではない。
ここが決定的に違いました。

確定申告の経験も、ほぼない

もうひとつの大きな不安がありました。

私も夫も会社勤めだったので、
今まで、税金のことは、年末調整ですべて完了していました。

確定申告したのは、医療費控除のある年、一度だけ。

日々の帳簿をつけられることと、申告書を作れることは、また別の話。

しかも課税事業者になれば、消費税の計算と納付までついてきます。
Excelでやるなら、全部、自分で取り組むことになります。

Excelを選ばず会計ソフトにした理由と、使って分かったこと

まずは、選ぶ前に考えていたことから。

※以下は私が使っている会計ソフトの場合です。機能や対応範囲はソフトやプランによって違います。

理由1|複式簿記の帳簿は、煩雑

青色申告特別控除を最大で受けるには、複式簿記での記帳が必要です。

仕訳帳、総勘定元帳、補助簿。
それぞれが連動して動きます。

一つの取引を入れると、複数の帳簿に同時に反映される。
この仕組みを、自分で組んで、自分で維持する。

簿記を勉強したからこそ、その手間が容易に想像できました。

理由2|Excelは誤操作に気づけない。合計だけは出る

私は前職で事務仕事だったので、Excelは常に使っていました。

だからこそ、怖さも知っています。

誤操作でデータを消してしまって、やり直したことも。
誤ってバックアップを消してしまったことも(あのときは頭真っ白でした)。

私だけではありません。周りでも、ちょくちょく起きていました。

共通のデータがおかしい、でも原因不明。
だれかこれ弄ったー?と問題になったり。

ウイルスの感染騒ぎもありました。

パソコンに精通していない私が、万が一をやらかしたとき、
帳簿はやり直しがききません。

そして、Excelのいちばん怖いところは、間違ってもわからないこと。

式が一つズレていても、合計は出る。

数字を一つ消してしまった。
参照範囲が一行分ずれていた。
上書き保存してしまった。

それでも、表は何事もなかったように数字を返してきます。

間違っていることを、誰も教えてくれません。

もちろん会計ソフトも万能ではないですが、実際入力ミスにエラー表示してくれて気づくこともしばしば。

理由3|電子帳簿保存法は「できる」が、「続けられるか」は別問題

電子取引のデータは、電子のまま保存する必要があります。

メールで届いた請求書も、ネットで買ったときの領収書も、
印刷して元のデータを捨てるのはダメ。

前々年の売上が5,000万円以下なら、検索できる仕組みまでは求められません。
税務調査のときに、データをそのまま渡せる状態にしてあれば足ります。

ただし、消したり書き換えたりできないようにする決まりは、義務です。
会計ソフトならその対策が自動でできますが、自分のパソコンのみで管理するなら、訂正や削除を防ぐための規程を作って、備え付ける必要がでてきます。

でも一番こわいのは、自分のパソコンの中で管理していると、データが消失するリスクが常にあることです。

パソコンの不調はある日突然起きます(経験者…)、災害も予告なくきます。
外付けHDDも、同じ家の環境下です。

帳簿の復元も非常に困難ですが、
受け取った請求書や領収書は、自分では再現できません。

最長で7年分の保存義務。

取引先に頭を下げて、再発行をお願いするしかない…。

私は今、会計ソフトの証憑管理の機能を使っています。
スキャンかスマホで撮影して登録すれば、保存も整理も勝手に済みます。

クラウドなので、パソコンが壊れても残ります。

「できる」と「続けられる」は、同じではありませんでした。


ここからは、実際に使ってみてよかった点です。

理由4|請求書が、そのまま売上の仕訳になる

インボイス制度で、請求書には必須の記載事項があります。

登録番号。取引年月日。取引の内容。
税率ごとに分けた合計額と、適用した税率。
税率ごとに分けた消費税額。相手の名前。

ひとつでも抜けると、受け取った側は、そのままでは仕入税額控除を受けられません。

自分が損をするだけなら、まだいいけれど、しくじれば、取引先に迷惑がかかります。

Excelでも、請求書は作れます。
ただ、様式を自分で作って、税率ごとの計算を毎回して、番号の管理もする。

会計ソフトなら、必要な項目は最初から用意されています。
しかも発行した請求書が、そのまま売上の仕訳に。

同じ数字を二回打つ手間が省けて、記載漏れもなくせます。

そして、その帳簿が大事な大事な決算書につながります。

会計ソフトなら、青色申告決算書がそのまま出てきます。
しかも、所得税とは別に必要な消費税の申告まで、一連の作業の流れで完結してくれます。

Excelなら、ここも自分ですることになり、かかる時間を考えたら、費用対効果は歴然でした。

理由5|銀行とカード、レシートの明細を、自動で取り込める

Excelでやるなら、通帳とカード、レシートの明細を見ながら、一件ずつ入力になります。
件数が増えれば増えるほど、どんどん時間を費やすことに。

会計ソフトは、銀行とカードを連携できます。
明細が自動で入ってきて、私がやるのは確認と手直しだけ。

また最近はAIのおかげか、撮影の読み取りや学習の精度が上がって手間が一段と減りました。

自動入力なら、打ち間違えることもほぼありません。
そもそも手で打っていないからです。

実は私、家計簿でレシートの入力に10年しんどい思いをしてきました。

マネーフォワード MEは個人事業主の家計簿に便利|早く使えばよかった話

あれを事業の経理でもう一度やると思うと、正直ぞっとしました(笑)

理由6|法律が変わっても、Excelは教えてくれない

そしてこれが私的には一番助かってます。

制度が変わっても、Excelの中身は去年のままです。
こちらが気づいて、調べて、直すしかありません。
気づかなければ、去年と同じやり方のまま申告することになります。

Excelでやっていけるのかもしれない。
でも、ちゃんとできているかは、誰にも分からないんですよね。

法律は変わり続けます。しかも、頻繁に。

開業のときに、税金も保険も経理も、分からないなりに一通り調べたつもりでしたが、情報はつねに変わる、終わりはない。

最近たまたまSNSで、3割特例の話や、75万円控除の話を知りました。
けっこう前にすでに話題になっていたようなのですが、私はまったく気づいていませんでした。

税理士さんのアカウントはいくつかフォローしていますが、流れてくる投稿を全部見ているわけではありません。あの日、たまたま目に入って気づいただけ。

法改正のために、情報チェックしとこうと思ってはいても、見逃すときは見逃す。

知らないままだと、損することに。

制度が変わると、有利なやり方も、一緒に変わります。しかも届出が必要なものには期限があります。
申告のときに気づいても、もう間に合いません。

間違えるのも嫌ですが、損をするのも、同じくらい嫌です。

まさにこの記事を書いているときにも、通知がありました。

たまった領収書を片づけようとソフトを開いたら、いつもの画面より先にお知らせが出てきたんです。免税事業者からの仕入れについて、一定割合を控除できる経過措置。その期限が延長された、という内容でした。

私は何もしていません。ただ仕訳を入力しようとしただけです。

ねこさんアイコン(疑問)
え、また変わったん?
教えてくれて、ありがとう…

Excelは起動しても、何も出てきません。

私が気づけなかったことに、代わりに気づいてくれる。そこに、いちばん助けられています。

私が払っているのは、教えてもらうお金ではない

税理士さんにお願いする、という方法もあります。

ただ我が家の場合、そもそも候補に上がりませんでした。

年1万3千円のソフト代で悩んでいたんです。
顧問料を出せるわけがありません。

今現在、我が家が使っているのは、会計ソフトのいちばん安いプラン。

人に電話で相談できるサポートは付かない、ソフトだけの契約です。

それでも、当たり前と言えば当たり前ですが、制度が動いたときにシステム変更され、通知もされます。

ほぼ自動ですぐに、仕訳は新しい制度で動きます。
計算式を作り直す必要も、どこに影響するか調べる必要もありません。

知らせるだけなら、メールでも足りますが、
中身まで一緒に変わってくれるのが、ありがたいんです。

金額は、年額で12,980円(税込)、ひと月あたり、1,080円くらいの計算になります。

正直なところ、私が使い始めた頃より値上がりしています。
それでも、この金額なら全然払うよ、と思っています。

(※料金はわたしの会計ソフトの一例です。改定される場合があります。最新の金額は各会社の公式サイトでご確認ください)

つまり、私が払っているのは、教えてもらうためのお金ではなく、見落とさないための、いちばん安い保険

会計ソフトの注意点

ここまでいいことばかり書いてきましたが、会計ソフトにも弱点はあります。

ひとつめは、ランニングコストがかかること。

Excelなら、パソコンにもともと入っているかもしれませんし、汎用性があります。
会計ソフトは、使い続けるかぎり払い続けることになります。
値上がりも一度ではないかもしれません。

ふたつめは、一度使い始めると引っ越しにくくなること。

長く使っていると、細かく自分の好みに追加で勘定科目を作ったりしてますが、移行先がここまで対応できるかは謎です。

また過去のデータはどこまでもっていけるのか、それとも置いたままにできるのか、など考えることが多いです。

そして、いちばん気をつけたいのが、みっつめ。

ソフトに任せきりにすると、自分で理解しなくなる。

自動で入力されたり計算されたりしていると、わかった気になったり、確認がおろそかになったりするときがあります。

なので自分でしっかりデータを確認し、経営状況を見ることは、会計ソフトでも変わらず大事です。
またこの制度がどういう趣旨のものなのか、といった理解も持つべきだと思っています。

もちろん、経理に時間を割かないための会計ソフト、ではあるのですが、会計ソフトはあくまで経理のサポートであり、経営のサポートではありません。

また、通知が来るのは、あくまで一部です。全部を教えてくれるわけではありません。

だから私は今でも、分からないことがあれば調べますし、SNSでアンテナも張っています。

ソフトが守ってくれるのは、あくまで最後の一線です。
中身を分かっていなくていい、という話ではありませんでした。

経理は、どこの家でも本業の外にある

Excelでできないとは言いません。

経理が本業の方や、時間を確保できる方なら、十分やれると思います。

控除を目一杯とるつもりがないなら、白色の道や青色10万円控除という道もあります。
こちらは複式簿記でなくても大丈夫です。

でも、これは私に限った話ではないと思うんです。

自営業をやっていて、時間があり余っている人なんていません。

現場で一日働いて、夜に帳簿をつける。
家のことをしながら、合間にぐしゃぐしゃの領収書を片づける。

その外側の時間で、制度改正まで毎日追いかけられるか。
私には、ちょっと自信がありませんでした。

「できない」のではなく、「私の持ち時間では割に合わない」。

しかも、何時間かけて表を作っても、制度が変わったことは教えてもらえません。
かけた時間の分だけ、安全になるわけではありません。

Excelでいけるのは、たぶんここまでです

ここまで書いてきて、線引きははっきりしたと思っています。

白色申告か、免税事業者のうち。

このあたりまでなら、Excelでも現実的だと思います。

ただ、そこから先は景色が変わります。

青色で控除を取りにいく。消費税を納める。
このどちらかが入ってきた時点で、自分でやる範囲が一気に広がります。

とはいえ、Excelそのものを捨てたわけではありません。
家事按分の計算や、税金と社会保険料をいくら取り分けておくかの管理は、今も自分で表を作ってやっています。

会計ソフトが正式な帳簿で、Excelは自分が分かりやすくするための道具。

役割が、違うだけです。

そして、もうひとつ。

青色申告の特別控除は、最大で65万円。
2027年分からは、要件を満たせば75万円に上がります。

ソフトを使えば、その控除を狙える土俵に乗れます。

簿記の知識がなくても大丈夫。
今の会計ソフトは、入力を手助けする仕組みが備わっています。
仕訳の科目を提案してくれたり、分からないことをその場で質問できたり。聞かれたことに答えていけば、そこそこ形になります。

私も、何も分からないまま始めました。

せっかくなら、青色申告で最大限の控除を目指すのはいかがでしょうか。

かけるところと、かけないところ

我が家は、けっこうケチです。

いちばん安いプランを選んでいますし、使わないものにはお金を出しません。

それでも、ここは削りませんでした。

お金をかけるところと、かけなくていいところを、見定めないといけない。

なんでもかんでもケチると、削った金額より、失うもののほうが大きくなります。

経理は、我が家にとって、その一つでした。

どの会計ソフトを、どんな基準で選んだのか。
2年使ってみて、どうだったのか。

それはまた、別の記事に書きたいと思います。

開業当時、夫から「知人のとこの奥さんはExcelでやってるってよ」と言われ、戸惑ってた私。
今、声をかけられるなら、こう言います。

ひとりで気負わなくていい。頼れるものには、頼っていいんだよ。

ねこさんアイコン(笑顔)
ケチるとこ、
間違えたらあかん!

※注意・免責※

この記事は個人の体験と調査をもとに書いています。情報の正確性を保証するものではありません。

税制は変更される場合があります。内容は執筆時点(2026年9月)のものです。

記事内の制度の説明は、執筆時点で公表されている情報にもとづく概要です。要件や期限には例外があり、個別の事情で扱いが変わります。

具体的な判断は、税務署や税理士など専門家にご相談ください。

執筆:ねこさん