個人事業主(一人親方)が綴る、ねこ丸ブログへようこそ。
脱サラ家庭の内部事情を、夫婦で執筆しております。
「一日でも早く今の会社を辞めて独立したい!」
「早く次にすすみたい!」
そう思っていませんか?
私は当初、「会社を辞めるにしても今年いっぱいは…」と考えていました。
しかしそのはずが、気づいたら、春に早々に退職していました(笑)
計画や見通しもあやふやなまま、退職も開業も勢い。
そんな無謀な辞め方をした私ですから、
当然、いろいろな知識も情報も持ち合わせておらず…。
今回はそんな私が無知で後悔したことのひとつ、
「雇用保険」について書きたいと思います。
「雇用保険」、俗にいう「失業保険」。
私の失敗は、その名前から「失業した人だけがもらうもの」と思い込んでいたことです。
開業日は、キリのよさで決めた
退職のきっかけは、急にきた仕事の依頼。
まだ辞めるかどうか、決心がついていない時期。
それでも、せっかく来た話を白紙に戻したくなかった。
その気持ちが強く、迷いはありつつも、勢いで退職。。
さてでは、開業日はどう決めたのかというと…。
年度初めだから。
区切りがいいから。
当時の私は、開業の日取りが何かに関わるとは、
思ってもいませんでした。
そもそも雇用保険を使う、という選択肢があることすら、知らなかったからです。
でも実は、再就職手当を受ける条件に、
この日付が大きく関わってきます。
なぜ会社を辞めたのか、その経緯はこちらの記事に書いています。
独立1年目、知人のひと言
開業してしばらく経ったころ。
同じように独立した知人と、話す機会がありました。
雑談のなかで、辞めたときの話になり、こう言われました。
「もしかしたら雇用保険、もらえたんじゃない?」
一瞬、何の話か分かりませんでした。
雇用保険への勘違い
まず、私の最大のミスは雇用保険に対する「勘違い」です。
雇用保険は失業中の生活を支えるだけの制度ではありません。
スキルアップや、雇用の継続を支える給付もあります。
そのなかに、再就職手当というものが。
失業中の生活費ではなく、
早く「次」へ進んだ人を応援するための給付です。
そしてこの「次」には、事業を開始した場合もふくまれます。
つまり、個人事業主も対象になりえる。
私は、まったく知りませんでした。
注意|開業準備に専念している人は、失業手当そのものは対象外
ひとつだけ、先に書いておきます。
失業手当(基本手当)は、働く意思と能力があるのに、
仕事に就けない人への給付です。
開業の準備に専念している人は、そもそも対象になりません。
ここをあいまいにしたまま受け取ると、
不正受給と判断されることがあります。
独立する人が目を向けるのは、あくまで再就職手当のほうです。
再就職手当の条件
おもな条件は、次のとおりです。
- 離職票を出して、受給資格の決定を受けていること
- 待期の7日間が明けてから、事業や開業の準備を始めていること
- 給付制限がある場合は、待期の満了からさらに1か月を過ぎてから始めていること
- 事業を始める前日までに、失業の認定を受けていること
- 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
- 1年を超えて事業を続ける見込みがあると認められること
- 過去3年以内に、再就職手当などを受けていないこと
なお、離職前の勤務先に「雇われる形」で戻る場合は対象外です。
業務委託として前の勤務先から仕事を受ける場合の扱いは、
ハローワークの判断になります。
心当たりのある方は、先に窓口で相談してください。
私が致命的に外していたのは、最初のふたつでした。
開業の準備は、いつから始めればいい?
自己都合で辞めて、給付制限がある場合を、時期ごとにみてみます。
| 事業や準備を始めた時期 | 再就職手当は |
|---|---|
| ハローワークへ行く前 | ❌ 対象外 |
| 手続きをしてから7日以内 | ❌ 対象外 |
| その7日が明けてから1か月以内 | ❌ 対象外 |
| その1か月が過ぎたあと | ⭕ 時期の条件を満たす |
※ここでいう「始めた時期」は、
開業届の日付だけで決まるわけではありません。
実際に事業を始めた日、
準備がある場合は準備を始めた日で判断されます。
業務委託の契約や事務所の契約、機材の購入など、
準備とみなされる動きがあれば、
その日が基準になることがあります。
どこからが準備かはハローワークが判断するので、
契約や購入の前に相談してください。
事業も準備も、始めていいのはいちばん下の段階から。
開業届を出すのも、そのあとです。
いちばん上に注目してください。
失業手当の手続き(離職票の提出)は、離職したあとでなければできません。
つまり開業日が離職日より前にあると、その時点でアウト。
なお、待期満了後の1か月ルールがかかるのは、給付制限を受けた場合です。
自己都合でも、正当な理由があって給付制限がつかない方には、
この1か月はかかりません。
ご自身の離職理由で確認してください。
私が対象外になった理由
私は2つのことで失態を犯していました。
ひとつは、前述したように、
ハローワークに行くという選択肢を、そもそも知らなかったこと。
雇用保険は失業した人のものだと思い込んでいました。
だから、窓口へ行くという発想が浮かびませんでした。
もうひとつは、開業届を出すのが早すぎたこと。
まだ在籍しているうちに、提出していました。
書類の日付だけの話ではありません。
実際に動き出したのも、離職日より前でした。
このどちらか片方だけでも、対象から外れます。
私は、その両方をやっていたことになります。
では、順番どおりに進めると、どれくらいかかるのか。
離職して、ハローワークで手続き。
待期の7日が明けて、そこから1か月。
目安として、離職から1か月半前後は空きます。
離職票が届くまでの日数や、申込みの時期によって、後ろにずれます。
私が実際に開業届を出したのは、それよりずっと前でした。
もちろん、手当の存在を知っていたとして、
その期間を待てたかは分かりません。
せっかく決まった話を、みすみす手放す判断ができたかどうか。
ただ、知っていれば時間に余裕がうまれたはずです。
準備も計画も整えられて、選択肢は増えていたでしょう。
待つか、進むか。
だれと仕事するか。
請けるか断るか。
今思えば、当時の私は、その選択肢を持っていませんでした。
開業したあとでも、さかのぼれる?
手続きと申告、それに時期。3つそろっていれば、さかのぼれる
ここは、読んでいる方の状況で答えが分かれます。
再就職手当の申請期限は、
原則として就職日(事業の場合は、実際に事業を始めた日)の翌日から1か月以内です。
ただし雇用保険には、2年の時効があります。
1か月を過ぎていても、事業を始めた日の翌日から2年以内なら申請できます。
ただし、2年という期間だけで決まるわけではありません。
| あなたの状況 | さかのぼれるか |
|---|---|
| 受給の手続きをして、決められた時期(待期7日、給付制限があればさらに1か月のあと)に事業を始め、そのことをハローワークに申告していた | 2年以内なら申請できる可能性があります |
| 手続きはしたが、開業や準備を申告せずに失業手当を受け取っていた | 対象外です。不正受給にあたります |
| ハローワークに行かないまま開業した | 対象外です。時効の話まで届きません |
真ん中の行について、補足します。
自営を始めたこと、またはその準備をしたことを申告しなかった場合は、
不正受給になります。
収入がなくても、申告そのものが必要です。
2年の時効は、あくまで申請を忘れた方のための救済です。
手続きをしていない場合は、さかのぼる術がありません。
私は最後の行なので、泣く泣くあきらめます…。
心当たりのある方は、一度ハローワークに聞いてみてください。
聞くだけなら、お金はかかりません。
再就職手当はいくら?
月給20万・雇用保険5年で約32万円、月給30万・雇用保険10年で約53万円
金額の目安も見ておきます。
計算の式は、次のとおりです。
基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率
支給率は、残っている日数で変わります。
- 所定給付日数の3分の2以上を残していれば、70%
- 3分の1以上を残していれば、60%
待ってすぐ開業した場合は、日数がまるまる残ります。
自己都合で辞めた方の例を、ふたつ出します。
いずれも離職時の年齢を30代とし、
2026年8月1日改定の数値で、支給率70%として計算しました。
| 条件 | 所定給付日数 | 再就職手当の目安 |
|---|---|---|
| 月給20万円・雇用保険5年 | 90日 | およそ32万円 |
| 月給30万円・雇用保険10年 | 120日 | およそ53万円 |
数万円ではありません。
事業を始める日をいつにするかで、数十万円が変わります。
ただし、これは条件を当てはめた概算です。
基本手当の日額には上限があり、年度ごとに改定されます。
事業が1年を超えて続く見込みかどうかも確認されます。
実際の可否と金額は、ハローワークの判断になります。
失ったのは、お金ではなかった
ここまで金額の話をしてきました。
でも、いちばん痛かったのは、そこではありません。
収入が途切れる期間が長いほど、人はあせります。
あせると、条件をよく見ないまま決めてしまいます。
手元の余裕は、そのまま断る余裕になります。
会社を選ぶときも、仕事を受けるときも、同じでした。
手元に数十万円があれば、どうなっていたか。
まず、気持ちに余裕ができたはずです。
仕事の話を、一度持ち帰れたかもしれません。
条件を詰める時間が、取れたかもしれません。
その先の計画を、考える時間があったかもしれません。
実際のところ、最初に組んだ相手との仕事は、長くは続きませんでした。
条件のすり合わせも、できていませんでした。
そのときの話は、こちらの記事に書いています。
あのころの私は、断ったら次がないと思い込んでいました。
制度を知らずに、金額を取り逃した。
それだけなら、まだ笑い話にできます。
知らなかったせいで、立ち止まるかどうかを考えることすらなかった。
これが、今でも引っかかっています。
まとめ
雇用保険は、失業した人のための制度だと思っていました。
今は、少し違う見方をしています。
次を決めるまでの時間を、すこしだけ買える制度。
そう考えると、
単に「手当をもらえなかった、悔しい」という損得勘定ではない見方ができました。
当時の私は、
依頼がきてうれしかった。
あせりもあった。
はじめての決断に高揚していた。
会社から解放されることに、浮かれてもいた。
早く始めたい。
早く始めなきゃ。
その気持ちばかりでした。
これだけ情報が豊かな時代に、
調べる時間と手間をさぼってしまいました。
もちろん、過去に戻れたとしても、
手当のために待つか、すぐに始めるか、
どちらを選ぶかは分かりません。
決まった話を手放すのが怖い気持ちは、今でも理解できるからです。
ただ、制度のことを知ってさえいれば。
辞めたあと、とりあえずでも離職票を持って、
ハローワークで受給の手続きはできました。
手続きそのものは1日で済みます。
あとは決められた時期まで準備を待てば、
再就職手当を受け取れる可能性を残せたはずです。
これから辞める方には、開業の準備を始める前に、
一度だけ調べてほしいと思います。
また、私の後悔と失敗は、これだけではありません。
その多くが「知らなかった」に起因します。
反省しっぱなしです…。
そのひとつは、こちらの記事に書いています。↓↓↓
《一人親方の労災|給付基礎日額はいくら?最低3,500円のままケガをした話》
ご覧いただきありがとうございました。
※注意・免責※
この記事は、私自身の経験と、そのときの受け止めをもとに書いたものです。特定の人物や会社を指すものではなく、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。記憶にもとづく部分もあります。
制度の説明は、執筆時点で公表されている情報にもとづく概要です。要件や期限には例外があり、個別の事情によって扱いが変わります。
記載した計算例は、条件を当てはめた概算です。基本手当の日額には上限があり、年度ごとに改定されます。実際の支給の可否や金額は、ハローワークの判断によります。
さかのぼっての申請については、受給資格の決定を受けているか、開業や準備をハローワークに申告していたかで扱いが変わります。ご自身のケースは、必ずハローワークでご確認ください。
在職中に開業届を提出することは、法律上の問題はありません。ただし、雇用保険の手当(失業手当・再就職手当)は受けられなくなることがあります。また、副業の可否は会社の就業規則によります。ご自身の規定をご確認ください。
手続きの前に、必ず最寄りのハローワークでご確認ください。本記事は、特定の働き方や制度の利用を勧めるものではありません。


