個人事業主(一人親方)が綴る、ねこ丸ブログへようこそ。
脱サラ家庭の内部事情を、夫婦で執筆しております。
「やっと会社やめれたー!今日からフリーだ!!」
私も昔、会社を辞めたときはこう思いました。
夫が独立したときも、同じ解放感だったようです。
でも、その幸福な時間は束の間でした。
現実がすぐに立ちふさがります。
不安定な収入、新しい人間関係、教育費…
そして、老後の問題。
夫が会社を辞めて、私も「第3号被保険者」ではなくなりました。
これまでは私の分は、保険料を払わなくても国民年金が積み上がっていた。
でもこれからは、夫婦ふたりぶんの国民年金を、自分たちで払う立場です。
収入が不安定なのはもちろんですが、私としてはこっちのほうが恐怖。
国民年金だけだと足りない。
足りない分を、何で補おう?
最初に迷ったのが、付加年金か国民年金基金かでした。
この2つは、どちらか一方しか加入できません。
結局、私たちが選んだのは、付加年金です。
迷いながらの選択。
でもいま振り返ると、結果的にいい選択だったなと思っています。
私の現段階の、国民年金基金への見解を記事にしました。
もし今悩んでいる方がいらっしゃいましたら、お役に立てるかもしれません。
制度ごとの違いは、こちらの記事にまとめています。↓↓↓
《国民年金基金・付加年金・iDeCo・小規模企業共済の違いを比較|個人事業主の年金選びで実際に迷ったこと》
国民年金基金を選ばなかった理由
基金を外した理由は4つありました。
- 一度加入すると、原則として自分の都合では脱退できないこと(資金ロック)
- 掛金に回せるお金に、そこまでの余裕がなかったこと
- 付加年金なら、受け取り始めて2年ほどで元が取れること
- 「基金はインフレに弱い」という指摘を、いくつも目にしたこと
この中でも、当時の私にとって一番のネックは、「資金ロック」でした。
収入が読めない個人事業では、状況を見ていつでもお金を動かせる状態にしておきたかった。
すでに、同じように資金ロックされるiDeCoもあったので、基金までは無理かなと判断。
そもそも、事業が続くかどうかも分かりませんでしたし…。
インフレについては、指摘を目にしてはいたものの、知識も実感もまだあまりありませんでした。
なんとなく嫌だな、という程度の認識でした。
でも、いまの日本の状況であらためて考え直すと、「インフレに弱い」ことこそが、国民年金基金の一番のデメリットだったと気づきました。
戦争が終わったら、物価は戻ると思っていた
値上げのニュースが続いていた頃、私はこう思っていました。
「戦争が終われば、元に戻るんだろう」
「いまが特別なだけで、いずれ落ち着く。」
でも、戻る気配ゼロ、いやむしろ加速してね?
久しぶりの自販機で、手が止まった
近年の私は、コンビニも自販機も年に一度使うかどうかという人間です。
久しぶりに自販機の前に立ったとき、値段を見て固まりました。
結局、何も買わずに帰りました(笑)
一度上げた値段を下げるのは、企業にとって負担が大きいそうです。
だから下げるくらいなら、量を減らすケースもあるようで…。
ティッシュも、若干小さくなっていた
私がそう実感した最たるものが、ティッシュです。
利用してて、ふと手が止まりました。
気のせいかもしれない。
そう思いながら、改めて見てみました。
若干、小さかったです。
これまたショック。
値段は変わっていない、けど。
これも実質値上げよな…。
値札が変わらないので、気づきにくい。
ちょっとずつちょっとずつ上がっていって、そして今年。
スーパーに並ぶもののほとんどで、すごい値上げを感じずにはいられません。
止まっていた30年のほうが特別だった
情報に触れるうちに、分かったこと。
世界の多くの国では、物価がゆるやかに上がり続けるのが健全な経済の形とされ、それが「普通」だそうです。
実は、当時の私がピンとこなかったのも、無理はありません。
私のこれまでの人生は、物価がほとんど動かない時代だったからです。
でも、いまのスーパーの値上げを見ていると、考えを改めるしかありません。
私が長年生きてきた「値段が動かない世界」は、普通ではなかった。
世界の情勢も、落ち着いているとは言えません。
「戦争が終われば」と思っていた私も、今は何がいつどこで起きても不思議ではないと感じています。
だから、物価が止まっていた時代が再びくることは、当面ないと思いました。
私の予想は外れるかもしれません。それでも、私はそう考えて準備することにしました。
日本銀行が掲げている物価の目標も、年2パーセントです。
これは私の予想ではなく、2013年1月に日本銀行が定め、政府との共同声明でも示された目標です。
(参照:日本銀行/2%の「物価安定の目標」)
目標どおりに進めば、物価は毎年2パーセントずつ上がっていきます。
だとしたら、30年後に受け取る年金はどうなるのか。
衝撃の試算結果!100万円は、35年で半分の価値
インフレの怖いところは額面上は同じでも、実質価値がじわじわ下がっていくことです。
では、2パーセントが続くと何が起きるのか。
具体的な数字で試算してみると…。
いま手元にある100万円が、将来どれだけのものを買えるか。
年2パーセントで計算してみました。
- 10年後:82万円
- 20年後:67万円
- 30年後:55万円
- 半分になるまで:約35年
※利息がつかない場合の計算です。メガバンクの普通預金(2026年11月2日から年0.5%)で、税金を引いた利息が30年ついたとしても、30年後は約62万円ぶんの価値です。
私たちが年金を受け取り始めるまでは、あと30年ほど。
その30年後には、55万円!?
額面上は100万円でも、実質価値は55万円。
お金の金額は、1円も減っていません。減っているのは、価値のほうです。
通帳の数字は変わりません。
ティッシュと同じで、気づけないようにできています。
ゆでガエルの話が思い浮かびました…。
付加年金と基金はインフレに追いつける?
さて、ようやく本題です。
付加年金と国民年金基金。
この2つは、インフレのときどうなるのか。
付加年金に、物価スライドはない
日本年金機構のページに、このようにはっきり書いてありました。
付加年金は定額のため、物価スライド(増額・減額)はありません、と。
(参照:日本年金機構/付加年金)
これから物価が2倍になっても、
付加年金の額は、物価に合わせて増えることはありません。
国民年金基金は「確定します」
国民年金基金のほうは、もっとはっきりと明記されています。
全国国民年金基金の公式サイトに、こう書かれています。
加入時の掛金額は、払込期間終了まで変わりません。(途中で口数を変更しない場合)
掛金額に応じて、将来受け取る年金額が確定します。
(出典:全国国民年金基金/国民年金基金のメリット)
これは、メリットとして書かれている文章です。
そして実際、メリットだと思います。
将来いくらもらえるかが最初から読めるのは、大きな安心です。
……ただ、読み返してみてください。
確定するのは「金額」であって、「価値」ではありません。
30年後に受け取る金額は、確かに約束されています。
でも、その金額で何が買えるかは、約束されていません。
国民年金の本体は、少し違う
国民年金そのもの(老齢基礎年金)は、少し事情が違います。
物価や賃金が上がれば、年金額も上がる方向に動きます。
ただし「マクロ経済スライド」という仕組みで、調整が行われている間は、上げ幅が物価や賃金の伸びより小さく抑えられます。
(参照:厚生労働省/給付と負担をバランスさせる仕組み)
追いかけるけれど、追いつきにくい設計です。
3つを並べると、こうなりました。
- 国民年金(本体):物価や賃金を追いかける。ただし上げ幅は抑えられるので、インフレに負けやすい
- 付加年金:追いかけない(定額)。物価が上がれば目減り確定
- 国民年金基金:追いかけない(加入したときに金額が決まる)。物価が上がれば目減り確定
国民年金基金の、いいところ
ここで、基金の良い点を書いておきます。
これを無視してデメリットばかりだと公平ではないので一応。
- 1口目は終身年金で、何歳まで生きても受け取り続けられる
- 1口目には、付加年金にあたる分も含まれている
- 掛金が全額、所得控除の対象になる。掛金が大きいぶん、月400円の付加年金とは節税額の桁が違う
- 将来いくら受け取れるかが、加入した時点で読める
どれも、本物のメリットです。
とくに節税効果は、付加年金とは比べものになりません。
基金のメリットは、私たちにはあまり意味なかった
そんなメリットがあっても、私たちは、基金を選びませんでした。
当時の私は、ここまで考えて決めたわけではありません。
でもインフレを痛感しているいまなら、基金のメリットはメリットといえるのか?を1つずつ、わが家に当てはめて説明できます。
まずは「将来いくら受け取れるかが、加入した時点で読める」について。
読めるのは、あくまで金額です。
その金額を決めているのが、予定利率です。
予定利率というのは、集めたお金をどのくらいの利回りで運用する前提か、という数字です。
国民年金基金では、2014年4月以降に加入した人の予定利率は1.5パーセントです。
加入したときの利率で、将来の年金額が決まります。
(参照:国民年金基金連合会/令和6年度 決算(PDF・加入時期ごとの予定利率の表))
そして日本銀行の物価の目標は、2パーセントです。
目標どおりに物価が動けば、それだけで追いつきません。
先ほどの100万円は、現金のままなら30年後に55万円ぶんでした。
予定利率1.5パーセントで30年増えたと考えると、約156万円になります。
でも物価が年2パーセントずつ上がれば、いまのお金に直して約86万円ぶん。
増えても、100万円には届きません。
物価の目標を下回るぶん、実質では少しずつ削られていきます。
※基金は残高が増えていく仕組みではなく、予定利率をもとに年金額を決めています。考え方を見るための、単純にした計算です。
次に、「掛金が全額、所得控除の対象になる」というメリットについて。
実は、控除の効き目は税率で大きく変わります。
月1万円(年12万円)を掛けた場合、節税できる金額の目安はこうです。
- 所得税5%+住民税10%の人:約1.8万円
- 所得税20%+住民税10%の人:約3.6万円
- 所得税33%+住民税10%の人:約5.2万円
※税率をかけただけの、おおよその目安です(復興特別所得税などは含めていません)。所得税や住民税がもともとかからない人は、控除しても減る税金がないため、戻りはありません。
収入の少ないわが家は、いちばん上の段。
わが家にとっては、控除はあまりうまみがない…(笑)
最後に、一見安心に思える「終身」というメリットについて。
加入した年齢などによりますが、長生きすれば、金額としては払った以上を受け取れます。これは基金の本物の強みです。
ただ、これはあくまで「長生き」への備えです。
インフレへの備えとしては、とても弱い。
30年後の1万円が、いまの5,500円ぶんの買い物しかできないとしたら。
その終身は、いったい何を守ってくれるのだろう…。
付加年金だけを選んだ理由
当然の疑問が出てくると思います。
付加年金だって定額です。
受け取るのは65歳からなので、それまでの何十年は基金と同じように物価にさらされます。
そのとおりです。
先ほども書いたとおり、国民年金基金の1口目には、付加年金にあたる分がもともと含まれています。
(参照:国民年金基金連合会/よくあるご質問(ご加入に関して))
基金に入ると付加保険料を納められないのは、このためでした。
つまり、基金を選んでも、付加年金の分がなくなるわけではありません。
ちがいは、その上にもっと大きな「決まった額」を積み上げるかどうかです。
付加年金だけなら、物価に削られる「決まった額」は月400円分で済みます。
付加年金は、受け取り始めてから、名目では2年ほどで元が取れます。
物価で目減りしても、長く受け取れば元は取れる計算です。
インフレ2%でも、4年受け取れば、実質元がとれる試算になります。
これを20年受け取ったとすると、払った額の10倍になる計算です。
※あくまで私の捕らぬ狸の皮算用ですので、ご注意ください!
当時は、月400円なら無理なく足せる、2年ほどで元が取れる、という気軽な理由で選びました。
でもいま振り返ると、付加年金だけにしておいたおかげで、残りのお金を、いつでも引き出せるNISAなど、物価を追いかける可能性があるほうに回せています。
- 付加保険料や国民年金基金の掛金を払うと、iDeCoの掛金の上限はその分だけ下がります(3つ合わせて月6.8万円まで)
- 付加保険料は月400円ですが、iDeCoの掛金は1,000円単位のため、上限いっぱいまで積んでいる方は、実際に積める額が1,000円下がります
- 上限(いまは月6.8万円)は、2026年12月分の掛金から月7.5万円に引き上げられる予定です
(参照:厚生労働省/2025年の制度改正)
基金がアリな人、ナシな人
ここまでをまとめると、国民年金基金がアリかナシかは、こう分かれると思います。
- 一生涯の決まった額を、厚くしておきたい人
- 税率が高く、控除がよく効く人
- 掛金を長く払い続けられる見込みがある人
- 収入が不安定で、途中で引き出せないお金をこれ以上増やしたくない人
- 税率が低く、控除のうまみが小さい人
- 物価への備えは、投資など別のもので持ちたい人
わが家は、ナシ。
付加年金を選びました。
※国民年金保険料の免除や納付猶予を受けている方などは、原則として付加保険料も国民年金基金の掛金も納められません(産前産後の免除を受けている期間などは除きます)(参照:日本年金機構/付加保険料の納付、国民年金基金連合会/よくあるご質問)。
迷って答えが出なかった原因
ここまで書いて、最初の疑問に戻ります。
「付加年金と国民年金基金、どっちが正解?」
開業前の私も、しばらくそう考えていました。
でも、そのときの私の頭には、インフレという視点がしっかり持ててなかった。
この2つは、どちらも「定額」の側にいます。
同じ側にいるもの同士を比べて、どっちがいいかを考えていただけでした。
でも、付加年金か基金かより先にまず、選択すべきことがあった。
- 定額で固まるもの
- 物価を追いかける可能性があるもの
自分はどっちがいい?
そう考えると、おのずと答えは出ると思います。
また、この視点なら、小規模企業共済の加入判断にも役立てることができると思います。
基金を外して後悔してる?
わが家が開業したのは、2024年です。
いまよりは、まだ値上げもゆるやかでした。
あのときは知識もなく、迷いながらの判断でした。
もし加入していたら、値上げに気づいたあとも、払ったお金を途中で取り出すことはできなかったはずです。
あのときは、主に、身動きが取れなくなるのが嫌で候補から外しました。
それが結果的に、インフレへの備えにもなっていた。
選ばなくてよかったと、いまは思っています。
もちろん、答えが出るのは、受け取る年齢になってからです。
それでも、いまの値上げを見るかぎり、あのとき動けるほうを選んでおいてよかった。
最後に、わが家が付加年金を選んだ理由をまとめます。
- 付加年金は、負担が軽く2年ほどで元が取れるので、夫婦とも入った。いま見ると、物価に削られるのも月400円ぶんで済む
- 国民年金基金は、金額は確定するが価値は確定しない。予定利率1.5パーセントは、日銀の目標2パーセントを下回る
- 基金の1口目には付加年金にあたる給付が入っている。どちらも「定額」の側にいる
- そのうえで考えたいのは、物価を追いかけるものを持つかどうか
- わが家の場合、それがいまのiDeCoとNISAです
iDeCoは、夫が会社員時代の企業型DCから移したもので、いまは掛金を減らして続けています。
いつでも引き出せるNISAのほうに、少しずつ寄せています。
企業型DCをiDeCoに移したときの話は、こちらです。↓↓↓
《企業型DCは退職後どうなる?脱サラしてiDeCoに移管するまで》
ふたつだけ、注意があります。
この判断は、あくまで私の家庭に合った選択です。
正解は家庭ごとに違うので、参考程度に読んでいただければと思います。
また、投資をすればインフレに勝てる、とは書けません。
そんな保証はどこにもありません。
私が言えるのは、ここまでです。
元本が減るのが怖いから、何もしない。
以前の私も、そうでした。
でも、100万円の話を思い出してください。
現金のままなら、30年後には55万円ぶんです。
物価が上がり続けるなら、何もしないのは、実質的には、じわじわ元本割れしているのと同じ。
上乗せの選択肢の中で、物価に追いつく可能性があるのは、値動きのある投資だけでした。
可能性がある、というだけです。
減ることもあります。
それでも私は、金額が確定して価値が減っていくのを黙って見ているより、
可能性のあるほうに置いておきたいと思いました。
これが、いまの私の考えです。
数年後、まったく違うことを書いているかもしれません。
そのときは、そのときで正直に書きます。
この記事が、どなたかのお役に立てれば嬉しいです🐱
iDeCoとNISAをどう配分したかは、こちらに書いています。↓↓↓
《個人事業主はiDeCoとNISAどっち?わが家がiDeCoを減額してNISAに回した理由》
NISAを始めたときの話は、こちらです。↓↓↓
《お金が心配!お守りとしてNISAを始めてみた話》
それではみなさま、ご安全に!
※注意・免責※
この記事は個人の体験と調査をもとに書いています。
正確な情報の掲載に努めていますが、内容の正確性・最新性を保証するものではありません。制度や料金は変わることがあるため、お手続きの前に公式サイトや窓口で最新の情報をご確認ください。
制度の説明は2026年10月時点の公表情報にもとづく概要です。要件には例外があり、個別の事情で扱いが変わります。
将来の物価や運用成果を予測・保証するものではありません。目減りや、元が取れるまでの年数、受け取る総額の計算例は概算です。
税金の金額は目安です。実際の税額は所得や控除の状況で変わるため、詳しくは税務署や税理士にご確認ください。
「基金がアリな人・ナシな人」は、わが家の考え方による目安で、特定の制度への加入をすすめるものではありません。
記事の中での制度の選び方は、わが家の条件での個人的な判断です。具体的な判断は、国民年金基金やiDeCoの窓口、ファイナンシャルプランナーなどにご相談ください。
投資は元本が減ることもあります。利益を保証するものではありませんので、ご自身の判断でお願いいたします。